ラブレターのお布団に眠る大切な人 お葬式での話

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今日の夕方にマレーシアに向けて旅立つ娘たち、羽田空港近くで1泊して明日の朝いよいよ出発だ。

親になると、子供が成長するのと比例してこんな風に何度も小さなアドベンチャーのような旅を見送るのだろう。

woman riding on wooden swing

私たちの家族は、私の仕事での出張の機会もあることからか?!子供たちが私を見送ることもある。

そんな私たちにとって、手紙を送り合うことはとても自然な事。

今思い返すと、子供を置いて仕事に行くとき、仕事から少し遅めに帰ってくる時など、玄関に手紙が置いてあることがあったな~。

さて、とても印象に残るお葬儀として、あるご夫婦のことをお話ししようと思います。

お二人の出会いは、先生と生徒でした。先生は、日本で教鞭をとっていたのですが、その後研究者としても活躍することとなり海外に赴任することとなりました。

brown wooden table and chairs

そこでスタートしたのがお手紙です。最初は、お互いの近況報告だったのかもしれません。当時の国際電話は、とてもお金のかかるものでした。連絡を取る手段としての手紙。

綴られる想いは言葉になって、毎日ポストに投函され続けました。 

尊敬の想いはやがて愛に変わり、成長を促す愛おしさは愛情へと進化していきました。

やがて二人はめでたく夫婦となり、生涯の伴侶として幸せに過ごしました。

年の離れたお二人でした。奥様は覚悟はしていましたが、先にご主人様を見送ることとなりました。

ご主人様の眠るお棺に、何か一緒に持たせてあげたいものは、入れて差し上げたいものはありますか?

奥様

私が送った、お手紙を入れていいかしら?

驚かないで欲しいのですが、本当に、ここに持ち込めない程の量があるのですよ。

お二人のお手紙を合わせると10,000枚は軽く超えるであろうお手紙の数。

brown paper and black pen

奥様を中心として、お手紙『LOVE LETTER』を敷き詰めその上にご主人様に眠っていただきました。

愛に溢れたお棺の中、ご主人様は嬉しそうに微笑んでいるかのようなお顔だったこと、今でもよく覚えています。

手紙は、人に勇気を与え、前に進むための原動力となる。離れている間のお二人を支えたのは、手紙であったことは間違いないことでしょう。

今時、ライン通話、メッセンジャーでのビデオ通話でも、簡単な手段は何だってある。

それでも、手紙はそれらとは違った意味で愛する人たちの距離を埋めるものとして、心の支えとして残っていって欲しいなと願うアナログな私がいます。

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加藤 京子

愛知県 稲沢市の葬儀社で生まれ3代目としてお葬儀の仕事に従事して25年になります。私が最も心がけているのは『皆様の生きるを応援すること』です。良いお葬儀とは何か?皆さまに寄り添いお手伝いしています。