旅立ちの姿を整えるお手伝い、それが私たちの目指す『ありがとう納棺」です。

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今日は、ご自宅にてご納棺をさせていただいた故人様と、そのご家族の皆様にまつわる、あたたかな一時のお話をさせていただこうと思います。

伊達男、なんて言葉を耳にしたことは、誰しもあるのではないでしょうか。戦国武将の伊達政宗を語源に持つその言葉は、『粋な男』という意味で使われています。

さて、粋な男とはどういう人なのでしょうか?

概ねは『見た目や気質などが垢抜けていて、情けや思いやりといったものによく理解があること』を示しています。

この言葉が生まれた当世の伊達男もまた現代の伊達男同様、とても身なりには気を遣っていました。その一つが髪型です。

時代劇でお馴染みの丁髷を結うにあたり、額から頭頂部にかけてを剃り上げる月代、これがきれいでないのは無精者とされていました。月代が美しい状態を保たれるのは、小まめに床屋に行くか、もしくは 剃刀を託せるような心から信頼できる伴侶を迎えるか。

今回は、ある粋な故人様に関するお話です。

このお話の主人公は男性の故人様。

介護ベッドをご自宅に据えられて、ご家族の懸命な看護にて最後までの時間を生まれて以降を過ごされたお家で、最後まで穏やかにお過ごしになられました。

事前に担当者から報告があったのですが、この度は故人様が安置をされておられる介護ベッドがとても大きく、お部屋のほとんどを占領しておられました。

故人様を偲び、たくさんの方がご納棺の時間に駆けつけてくださいましたが、このような新型コロナ感染症が流行っている昨今、多くの人が密集することは難しい情勢です。大変に心苦しくはありましたが、皆様には別室にて待機をしていただきました。お部屋に残られたのは故人様の連れ合い様である奥様と、故人様のお嬢様の2名。お2人とお話をさせていただきながらお手当を進めます。故人様、とてもおしゃれな方で、お元気だった頃は月に2度も床屋さんに出向かれては散髪をされるほどに身なりに気を遣っていらしたそうです。

体調を崩されて自宅にて療養を余儀なくされてからは、どこかに出歩くことがなくなっても身なりを気にする故人様の散髪は奥様がされるように。故人様専属の美容師さんとして、奥様はいつも故人様の一番近くに沿っておられました。

「今度髪をまた切ろうかって矢先にね、亡くなっちゃって」

奥様がうなだれながらおっしゃいました。

もうきっと難しいのだろうと、2度と彼の人のためにハサミを握ることはないのだろうと諦めた顔をしている奥様に、私は提案をしました。

「もしよろしければ、今この場で旦那様の髪を切って差し上げませんか?」

お別れになる前に、どうか心残りを残して欲しくないと願っての提案を、奥様は笑って受け入れてくださいました。私が故人様の頭の下にケープを差し込む間に、いつも故人様の散髪に使っていたハサミを出してこられて、故人様の髪にハサミを差し入れます。

シャキシャキと髪を切る小さな音だけが響きました。

そしてすっかり白装束に召し替えされた故人様を、別室からお呼びしたお身内の皆様に清拭していただき、お棺に皆様の手でご移動いただきました。お棺の中でお気に入りのスーツと帽子をかけられた故人様は、なるほどどうして伊達男とはこういうことかと思うような、

いかにも粋なお姿でした。

かとう葬儀では、『結葬』皆様を結び合わせる、新たなお葬儀のあり方を模索・提案しております。思い出に寄り添いながら皆様と一緒に最後のお時間までの過ごし方、してさしあげたいことなど、お手伝いさせていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

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加藤 京子

愛知県 稲沢市の葬儀社で生まれ3代目としてお葬儀の仕事に従事して25年になります。私が最も心がけているのは『皆様の生きるを応援すること』です。良いお葬儀とは何か?皆さまに寄り添いお手伝いしています。